K-TUNES RACING

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2023.10.14-15 オートポリス快走を見せ順位を上げていった決勝レース
しかしクラッシュによってリタイヤに

2023年のSUPER GTも残り2戦。いよいよ絞られるチャンピオン争いも含めて、シーズンのエンディングに向けての重要な一戦の場は、九州・オートポリス。低速から高速までいくつもの複合コーナーを、元々のアップダウンのある地形に散りばめたコースは、ドライバーにも、マシンにも、そしてタイヤにも、ハードだ。

レース距離の延長を実行してきたSUPER GTだが、オートポリスでの450kmは初めて。路面が荒れている部分もありタイヤへの負担が高いので、そのマネージメントは今回のレースの大きなカギになりそうだった。
K-tunes Racingは耐久性を重視したスペックを選択し、サーキットへと持ち込んだ。そもそもレースで使用できるタイヤ本数は2022年シーズンよりも1セット少なくなっており、決勝レースでは最小限でも2回のタイヤ交換が必須であるということを考えるとチャレンジはできない。タイヤ交換が1回で済む軽量なマシンとは、そういった部分から事情が異なるのだ。

土曜日の午前中、公式練習は前夜からの雨の影響で路面が完全には乾いておらず、予選・決勝に向けてチェックをするには良い状況ではなかった。それでも10月とは思えないほどの高い気温で路面が乾いていくと、いつものように予定されていたレース直前のプログラムを消化していった。
しかしチーム内には不穏な空気が。新田守男選手も、高木真一選手も、マシンが上手く走らないようで、その問題点を必死に探っていた。レーシングマシンのハンドリングは、ごくわずかの変更が大きく影響する場合がある。またいくつもの要素を変更することができるため、しっかりと検討しないと誤った方向へと進んでしまう可能性もある。
サクセスウエイトは前戦の15kgから14kgへ、ほぼ同等。SUGOからの変化は小さいはずだが、何かがRC F GT3を狂わせてしまったのか??

残念なことに、ハンドリングは公式予選までに改善することができなかった。
予選Q1は高木真一選手が担当。タイヤをしっかりと温めるために3周近くを費やし、いよいよタイムアタックに。1分44秒572のタイムで、その時点で7番手。まだまだアタックしているマシンは多く、果たして8位以内に残れるのか?? ライバルたちの記録するタイムに注目するしかなかった。
ラッキーなことに上位へと食い込むマシンは現れず、高木真一選手は7位で予選Q2へ進出を果たした。9位のマシンとのタイム差は、わずか0秒105という僅差だった。
予選Q2、新田守男選手はフィードバックを受けてコースイン。少しずつタイムを上げながらタイヤをウォームアップさせていく。そして最初のアタックで出したタイムが1分44秒005。2度目のタイムアタックで、それを更新することができず、最終的に14位という予選結果となった。
SUGOでのポールポジションから一転、14位という真ん中よりも少し後方の位置からのスタート。苦しいレースが予想された。

決勝レースは97周。GT300クラスの周回数は、多くても94周くらいだろうか。ひとりのドライバーの最大周回数は64周なので、ミニマムのドライバー交代は30周という計算になる。2回給油が義務づけられていることもあり、3等分した2ストップがスタンダードということになるだろう。
96号車のスタートドライバーは新田守男選手。マシンは公式予選の段階から、大きくセッティング変更を受けて、14番グリッドに並ぶことになった。スタート位置が悪いこともあり、速さを取り戻すことを考えてセッティング変更にチャレンジしたわけだ。もちろん十分に確認する時間はない。いわばぶっつけ本番ということになる。
スタートタイヤは予選Q2で使用したもので、耐久性を重視したスペック。そのためスタート直後はタイヤのウォームアップが遅く、順位は落とさなかったものの、3周目には前を走る#87ランボルギーニに3秒近く引き離されてしまった。

しかしタイヤが温まってしまえば、その差を挽回する速さを持ち合わせていた。5周目に11位、7周目に10位となりポイント圏内へ。さらに11周目には9位へと、ポジションを上げていく。そのレースペースは上位3台のマシンに匹敵するレベルで、新田守男選手はキッチリとオーバーテイクを決めていった。
決勝レースに向けてセッティング変更をしたことが、一気に風向きを変えて96号車に戦闘力を与えたのだ。レースは450kmと長いだけに、どこまでポジションを上げていくことができるのか??
新田守男選手は8位を走る#18NSXにあっという間に追いつき、テール・トゥ・ノーズで最終セクションに入ってきた。最終コーナー、ストレートと、そのままの状態で1コーナーへ。そこでクラッシュを引き起こしてしまった。
ブレーキングポイントを見失ってしまった新田守男選手は減速が不十分な状態で1コーナーに進入、ターンインし始めていた#18NSXの後部に追突してしまったのだ。#18NSXはスピン。96号車もそのまま直進してグラベルに入り、大きく迂回してコースへ戻ることになったが、フロント部分が大きく破損してしまっていた。

14周目にピットインし、高木真一選手へとドライバー交代、タイヤ交換と燃料補給、そして破損したフロント部分の応急修理を行った。「走行感覚はいたって普通で、クラッシュの影響は感じなかった」と高木真一選手は言うのだが、ボンネットフードが高速走行時に浮き上がってしまう症状が出てしまい、最終的にリタイヤを決断することになった。
K-tunes Racingは過去3度リタイヤを経験しているが、規定周回数を超えていたため記録上は完走扱いとなっていた。2018年の参戦以来、今回が初のリタイヤを記録することになった。
また残念なことに、3度のペナルティを受けてしまった。最初は「他車との追突」、2度目は「FCY中の速度超過」、3度目は「ピット作業遵守違反」というもので、いずれもドライブスルーペナルティが課せられた。クラッシュ後の混乱の中でトラブルを連発してしまったのだが、リタイヤしてしまったため2回分は未消化となった。その2回分については、次戦でのスターティンググリッドを降格するなど、設定されることが予想される。

コメント

  • 影山正彦チーム監督
    影山正彦 チーム監督

    「まず18号車の関係者の皆さん、ファンの皆さんに謝罪します。96号車は決勝でのペースが良くて希望が持てるレース序盤だったんですが、ブレーキングのミスによって残念な結果になってしまい、K-tunesのファンの皆さんにも、申し訳ないです。今後、こうしたことが起きないよう、しっかりと反省をして、チーム一丸となってミスのないレースをしていきたいと思います」

  • 新田守男選手
    新田守男 選手

    「スタート直後は厳しかったんですが、ウォームアップが済んだらペースはとても良くなりました。タイヤマネージメントをしながらオーバーテイクしていく展開になりました。あの1コーナーですけど、まだオーバーテイクする気はなかったんですが、NSXの真後ろでブレーキングポイントを見誤ってしまいました。18号車の関係者とファンの皆さん、申し訳ありませんでした」

  • 高木真一選手
    高木真一 選手

    「応急処置をしたマシンに乗ることになったんですが、走らせてみると大きな影響はありませんでした。ペースも悪くなくて、これから挽回できるかな、という印象でした。ただ速度が上がるとボンネットフードが浮き上がってしまい、リタイヤとなってしまったのは残念でした。今回のレースではタイヤの使い方の面で、また一歩前へ進むことができたと思います」

リザルト2023 AUTOBACS SUPER GT Round.7 AUTOPOLIS

10/15 決勝レース オートポリス 天候:曇り 路面:ドライ

Pos. Car No. Machine Driver Laps Time / Gap Best Lap Tire SW
1 52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT
TOYOTA GR Supra
吉田広樹/川合孝汰/野中誠太
91 2:52'08.683 1'45.063 BS 75
2 2 muta Racing GR86 GT
TOYOTA GR86
堤 優威/平良 響/加藤寛規
91 0.612 1'44.408 BS 51
3 31 apr LC500h GT
LEXUS LC500h
嵯峨宏紀/小高一斗/根本悠生
90 1Lap 1'44.924 BS 21
4 61 SUBARU BRZ R&D SPORT
SUBARU BRZ GT300
井口卓人/山内英輝
90 1Lap 1'45.092 DL 47
5 56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R
NISSAN GT-R NISMO GT3
J.P.デ・オリベイラ/名取鉄平
90 1Lap 1'47.205 YH 59
6 4 グッドスマイル初音ミクAMG
Mercedes AMG GT3
谷口信輝/片岡龍也
90 1Lap 1'46.093 YH 23
リタイヤ 96 K-tunes RC F GT3
LEXUS RC F GT3
新田守男/高木真一
21 70 Laps 1'46.730 DL 14

ファステストラップ 1'44.408 #2 平良 響
※タイヤ BS=ブリヂストン DL=ダンロップ MI=ミシュラン YH=ヨコハマ

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