K-TUNES RACING

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2023.4.15-16 岡山国際サーキット断続的に降る雨で大荒れとなった開幕戦
地元での快走とはならず14位に終わる

2023 AUTOBACS SUPER GT シリーズが、ついに開幕戦を迎えた。K-tunes Racingにとって創設以来11年目のシーズンであり、新しいフェーズへ向けた1年が始まったことになる。SUPER GTへの参戦は2018年から6年目となり、さらなる深化が求められる。

例年通り開幕戦の舞台は、地元・岡山国際サーキット。3月中旬に行われた公式テストではトップタイムをマークするなど、新しいシーズンに向けての第一歩として明るい光が差していた。ただし公式テストが4月中旬のような温かい快晴だったのに対して、今回の開幕戦は雨予報となっていた。そういえば3週間前、富士スピードウェイでの公式テストは雨が降り続くコンディションだった。96号車はレインタイヤを中心にしっかりとチェックすることができたものの、ラップタイムは低迷し、やや精彩を欠いていた。
見事なまでの2度の公式テストでのコントラスト。いうまでもなくK-tunes Racingは天気予報が外れ、ドライコンディションになることを望んでいた。だが現代の天気予報は精度が高く、希望は叶わなかった。
雨の岡山国際サーキットといえば、2019年の開幕戦、予選2位からスタートした新田守男選手がポールポジションからスタートした高木真一選手をオーバーテイク。その後、他車のクラッシュがいくつか起き、雨量も多くなったことで、わずか30周で決勝レースは終了。このレースがSUPER GT初参戦となった阪口晴南選手は、決勝レースを走ることなく初参戦初優勝を遂げるという珍事が起きている。
タイトなハンドリングコースだけに、オーバーテイクは難しく、わずかにコントロールを失うだけでも大きなクラッシュにつながる。雨はそうした傾向をさらに加速させる。レースは間違いなく波乱含みの展開になるだろう。問題はその波乱を、上手くチャンスとして活かすことができるか?? ということだ。

公式予選は前夜から降り続いた雨がコースをたっぷりと濡らす中で、スタートした。2つに組分けされた予選、96号車はA組だった。
高木真一選手はタイヤをしっかりと温めるために、スタートと同時にコースイン。大きくウォータースクリーンを巻き上げて、コースを駆け抜けていく。果たしてライバルたちと比較して、どれくらいの速さを持つのか?? そのタイムをチーム全員が見守る中、最初のアタックでは5番手。さらに2度目のアタックでは2番手のタイムをマーク。しかもその直後、残り6分で雨が強くなったことで赤旗中断。セッションはそのまま終了となり、予選Q2への進出を決めた。
予選Q1のA組はヘビーウエットの状況であり、トップ3はいずれもダンロップタイヤだった。そのコンディションにはピタリとマッチしていた、ということだ。
しかし天気は変わっていく。岡山国際サーキットは山間部にあるため、その変化がいつも急だ。予選Q1のB組が始まる頃には雨が急速に弱くなり、コース上からも水が少なくなっていった。当然ラップタイムは早くなる。B組のトップタイムは65号車AMGだったが、そのタイムは1分38秒256。A組2番手の96号車は1分43秒870で5秒以上も差があり、B組でいえば最下位にも届かない。コンディションはそれほど大きく改善していたのだ。
GT500クラスの予選Q1を挟み、予選Q2がスタート。雨はわずかに体感できる程度まで、弱まっていた。予選Q2を担当する新田守男選手は、高木真一選手からのフィードバックを、変化したコンディションに合わせ込まなければならない。
ライバルたちのタイムは、さらにペースアップしていく。ポールポジションを獲得したのは65号車AMGは1分36秒038と、予選Q1よりも2秒以上も縮めている。だが新田守男選手のタイムは伸び悩んだ。最初のアタックで1分40秒台へと入れることができたものの、2度目、3度目とアタックを繰り返しても40秒を切ることができず、予選は14位で終えることになった。

翌日、決勝レースの朝、岡山国際サーキットは快晴だった。まるで昨日の降り続いた雨がウソのような日差しが、サーキットを照らしていた。だがこれもまた天気予報通りで、夕方決勝レースの途中から雨が降る、というものだった。
地元岡山国際サーキットということもあり、岡山トヨペットの関係者、K-tunes Racingのスポンサーや関係者などを中心に、グランドスタンドに陣取っていた。K-tunes Racingのファンの数も多く、またチームスタッフの友人や家族の来場もあったようだ。やはり地元開催というのは、特別な大会だ。
マシンがグリッドに並び、いよいよ決勝レースのスタートに向けての準備と気分が整っていく。気がつくと、岡山国際サーキットの空は70%以上を雲が占めていた。しかも最終コーナー側の空が暗い。それはこのサーキットの天気が悪くなる予兆として、知られていた。
通常、決勝レースは予選を戦ったタイヤでスタートする。それはレギュレーションで規定されていて、予選Q1で使用したAか、予選Q2のBかは、当日の朝に決められる。ただし今回の予選は雨でレインタイヤを使用したため、スタートは新品のスリックタイヤということになった。これはレース戦略に影響する可能性もあるが、途中で雨が降ってしまったら価値はない。

スタートドライバーは新田守男選手。曇り空の下、14位からスタートし、1周目で4台をオーバーテイクし10位でストレートに戻ってきた。ダンロップタイヤの温まりの良さが、スタート直後のパフォーマンスを高めたようだ。
しかしそこから先は難しものだった。先行する9位のマシンは今シーズンから参戦を始めた50号車RC F GT3だったからだ。オーバーテイクの難しいコースで、同じマシンとなると抜き所がない。10位のポジションのまま、レースが進んでいく。
雨がポツポツと落ち始めたのは8周目。それが10周目にはコースの一部は本格的なウエットになり、それが一気にコース全体へと広がっていった。新田守男選手からの状況報告もあり、チームはすぐさま反応した。豪雨に近いギリギリの状況になった14周目、タイヤ交換のためにピットイン、レインタイヤへと履き替えてコースに復帰した。
SUPER GTではドライバー交代が義務だが、新田守男選手の周回数が足りてないため、ドライバー交代は行われなかった。
コースに戻った新田守男選手だが、その直後にFCY(フルコース・イエロー)となり、全車80km/hでの走行となった。さらに次の周にはセーフティカーへと変わり、サーキットは雨だけでなく、いくつもの雷の洗礼も受けた。この段階でレインタイヤへの交換を終えていたのは半分以下で、素早い決断によって早めのタイミングでタイヤ交換を行った96号車は実質6位となっていた。
まるでスコールのように、豪雨となっていた空は、急速に明るさを取り戻し、雨量も一気に少なくなった。クラス毎の整列を終えた頃には、レース可能なコンディションを取り戻していた。
セーフティカーが解除される1周前、20周目にピットレーンがオープン。多くのマシンが一斉にピットレーンに向かう。大混乱でミスをするチームもあった。21周目、新田守男選手は6位で再スタートを切った。

雨はかなり弱まり路面は徐々にドライへと向かっている。このコンディションは予選Q2と同じ。つまり新田守男選手は周囲のライバルたちに対してペースに苦しみ、ポジションを守るのが難しくなる。
モニターは1周4〜5秒もの大きな差が表示され、24周目には11位、30周目には15位にまで大きくポジションを落とすことになった。すでに雨は止み、ドライコンディションへと向かっていくのは明らか。問題はスリックタイヤへの交換のタイミングだ。早ければまだ路面に水が多く、さらにタイムを落としてしまう。
しかしすでにペースが悪く、猶予はなかった。K-tunes Racingは31周目にタイヤ交換と高木真一選手へのドライバー交代を実施した。やはりまだ数周早いタイミングだったようで、ラップタイムは厳しいレベル。しかし40周目には1分35秒台のタイムまでペースアップを果たし20位まで順位を戻し、ライバルたちも続々とスリックタイヤへ交換していく。

43周目に61号車BRZがコースオフしたことでFCYへ。しかもそのタイミングで雨がポツポツと復活。46周目あたりには完全な雨になったタイミングでFCYが解除されると、直後に9号車AMGと88号車ランボルギーニが接触してコースアウトし、セーフティカーとなった。
しかし50周目で雨が強くなり、赤旗中断。雷が発生したため、安全確保のためにレースが中断となった。
その後、2度セーフティカーによるレース再開となったものの、セーフティカーが解除されることはなく、いずれも雨量が多くなり赤旗中断へ。最終的にはレースの最大延長時間もあり、59周で終了となった。
高木真一選手は14位という、スタートと同じ順位でレースを終えることになった。晴れ→雨→晴れ→雨という天候の変化に大きく影響されたレースとなったが、雨でのパフォーマンスが十分ではなかった96号車は苦闘することになってしまった。

コメント

  • 影山正彦チーム監督
    影山正彦 チーム監督

    「まずは寒い雨の中、多くの地元ファンのみなさんに応援していただき、本当にありがとうございました。雨が降ったり、止んだり、豪雨になったりと、コンディションの変化が激しいレースでした。レインタイヤでのパフォーマンスが厳しくて、良い結果につなげることができませんでした。状況の変化にベストな選択をしながらレースを戦いましたが、残念です」

  • 新田守男選手
    新田守男 選手

    「スタートはタイヤの温まりやクルマのバランスも良くて、スムーズに前へ出ることができました。そこからは後半勝負に向けてタイヤを温存しながら…、と思っていたんですけど、雨が降ってきて。レインタイヤへ交換はタイミングも良くて、トップのマシンがすぐそこに見える位置になりましたが、ペースが厳しくて順位を維持することはできませんでした」

  • 高木真一選手
    高木真一 選手

    「新田選手がドライで良いペースで走れていたんですが、雨が降ったり、止んだりして、難しいレースになってしまいました。ボクたちの課題でもあるレインタイヤの開発も、これから進むことになっているので、今後は雨のレースでも良いパフォーマンスが出せると思います。地元岡山での開催だっただけに残念な結果でしたけど、次に向かって前進したいと思います」

リザルト2023 AUTOBACS SUPER GT Round.1 OKAYAMA

04/16 決勝レース 岡山国際サーキット 天候:曇り/雨 路面:ドライ/ウエット

Pos.Car No. Machine Driver Laps Time / Gap Best Lap Tire SW
1 18 UPGARAGE NSX GT3
Honda NSX GT3
小林祟志/小出 峻
59 2:45'26.030 1'28.623 YH -
2 65 LEON PYRAMID AMG
Mercedes AMG GT3
蒲生尚弥/篠原拓朗
59 3.592 1'26.874 BS -
3 244 HACHI-ICHI GR Supra GT
TOYOTA GR Supra
佐藤公哉/三宅淳詞
59 15.613 1'27.985 YH -
4 27 Yogibo NSX GT3
Honda NSX GT3
岩澤優吾/伊東黎明
59 17.778 1'27.843 YH -
5 52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT
TOYOTA GR Supra
吉田広樹/川合孝汰
59 23.343 1'27.749 DL -
6 7 Studie BMW M4
BMW M4 GT3
荒 聖治/ブルーノ・スペングラー
59 26.255 1'27.241 MI -
14 96 K-tunes RC F GT3
LEXUS RC F GT3
新田守男/高木真一
58 1 Lap 1'27.772 DL -

ファステストラップ 1'26.874 #65 LEON PYRAMID AMG/篠原拓朗
※タイヤ BS=ブリヂストン DL=ダンロップ MI=ミシュラン YH=ヨコハマ

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