K-TUNES RACING

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2022.10.1-2 AUTOPOLIS予選Q2進出ならず、21位スタートとなったが
戦略通りの追い上げで8位入賞を獲得

過去3度のオートポリス大会、K-tunes Racingは入賞率100%というミラクルステージでもある。そのバックボーンとなるのはLEXUS RC F GT3がコースにマッチしていることだ。そういった過去の実績だけに加え、進化を遂げ耐久性に不安がなくなってきたダンロップタイヤのポテンシャル向上もある。今シーズン後半に入ってリザルトが安定してきた事実もある。期待感が高まるのは自然なことだった。

SUPER GTではサーキットに持ち込めるタイヤの本数に制限がある。今回のような300kmレースでは6セットというのが基本的。いろいろなスペックのタイヤを取り揃えるようなことはできず、最大でも3つくらいまで絞り込まなければならない。
そこで問題となるのはレース当日の天気。気温と陽差しによって決まる路面温度は、タイヤの性能に大きく影響する。当日の温度を想定して、タイヤのスペックが決まることになる。それは当然、天気予報が外れた場合、パフォーマンスに苦しむことになる。
オートポリスのコースレイアウトは、タイヤの負担が大きい。それだけにタイヤのスペックは、単純な速さだけでなく、耐久性にも十分に配慮しなければならない。実際、今回のレースでもタイヤのトラブルによって、何台かが緊急ピットインを余儀なくされ、大幅にポジションを下げる結果となっている。

レースウィークは10月に入ったということもあり、日が落ちてからは肌寒さを感じるような気候となった。しかし昼間は、晴れ渡った秋晴れの空からの陽差しが強く、暑さを感じるほどとなった。
予選を前にした公式練習、7番手のタイムをマーク。相性の良いコースだけに順当なタイムではあったが、それでも予選をイメージし多くのマシンがアタックモードに入るGT300専有の時間帯ではなく、セッション開始直後のタイムだったことに価値があった。
何かトラブルが起きなければ予選Q2進出は間違いないだろう。そう予想するのは、自然なことだった。だが予選Q1、B組を走った新田守男選手は苦しかった。早めにコースインしてタイムアタックしたものの、その時点で5番手。その後ズルズルと順位を下げ、最終的に11番手となってしまった。マシンのトラブルはなく、アクシデントもなく、ドライビングのミスもない。
想定外だったのは、ライバルたちのタイム向上が大きかったこと。午前中の公式練習に対して午後の公式予選では、1秒以上のタイムアップを果たしていたチームが多く、中には3秒近いチームもあった。そうした中で、96号車は0.4秒のタイムアップに留まってしまった。

しかし最大の要因は、B組だったことだろう。B組で11番手となった今回のQ1だが、A組であれば6番手のタイムであり、Q2進出が実現していたことになる。Q1での組分けはシリーズランキングが分散するようになっていて、マシンの速さで分けられているわけではない。今回のように、たまたまB組に速いマシンが集まってしまうことも、過去何度もあった。運・不運という言葉で片づけて納得するしかない。
それでもK-tunes Racingには決勝レースでの良い見通しがあった。それは決勝レースを前提に、耐久性を重視したタイヤを選択していたことだ。長距離での耐久性を向上させてきたダンロップタイヤを活かし、高耐久ゆえにレース後半での追い上げが想定できた。タイヤの負担が大きいオートポリスだからこそ、それを実現できる可能性は高かった。
予選でのタイムアップが大きかったチームが、グリップを重視したソフトなタイヤを選択していたとすれば、K-tunes Racingの戦略はより効果的となる。

決勝レース当日もまた、強い陽差しがサーキットを照らしていた。路面温度も高く40℃を超えてしまっていた。高温化した路面はタイヤの磨耗を早めるため、耐久性はより大きなファクターとなることが予想された。
スタートドライバーは新田守男選手、グリッドは21番とかなり後方になる。ただしピットスタートを選択したマシンがあり、実際には20位でのスタートということになった。
決勝レースはスムーズにスタートし、順位変動がほとんどなく、まるでスターティンググリッドの順に隊列を組んでいるかのような周回が続く。新田守男選手はペースに苦しみながら、前後をマシンにはさまれるような形で、20位のまま周回していく。
順位が変わったのは14周目、コースオフしてグラベルでストップしたマシンが出たため、繰り上がって19位となった。これが新田守男選手の時の、唯一のポジションチェンジとなった。

19周目、96号車は他のマシンに先駆けてピット作業へ。ドライバー交代、燃料補給、タイヤ4本交換を実施する。ニュータイヤを得た高木真一選手は、24位にまで落としたポジションを少しずつ取り返していく。ペースはトップグループのマシンと同等で、周囲のマシンよりも明らかに速い。
全てのマシンがドライバー交代を終えたのは40周目、高木真一選手は13位に順位を上げていた。残り周回数は約20周だ。タイヤのトラブルなのか、2度目のピットインに向かうマシンも出てくる中、96号車もレースペースは少しずつ苦しくなっていったが、それでも44周目には、ついに10位に。そして、さらに1台がコースオフしてストップ、もう1台がタイヤトラブルによって緊急ピットインとなり、52周目に8位へ。
高木真一選手は60周を走りきり、8位でチェッカーを受けた。下位からのスタートでありながら、しっかりと入賞を果たすことができた。K-tunes Racingは、これで4度のオートポリス戦で4度の入賞ということになった。

シリーズランキングでも3ポイントを加え、17.5ポイントへ。K-tunes Racingの今シーズンは、クラッシュした開幕戦、ミッショントラブルを起こした第5戦を除いて、5大会で入賞を果たした。つまり完走した時には入賞しているということだ。そうした安定感のある成績を残している一方で、シーズン当初からの目標でもあった表彰台には届いていない。果たして最終戦で達成することができるだろうか??

コメント

  • 影山正彦チーム監督
    影山正彦 チーム監督

    「想定していたよりもラップタイムが伸びなくて、序盤になかなか順位が上げられず、ちょっと心配していたんですが、高木選手がニュータイヤでいいペースで走ってくれて、当初の予定通りに入賞することができました。本当はもう少し前でスタートできれば、もっといい結果が出せたと思いますが、最終戦に向けて弾みを付ける、良いレースができたと思います。」

  • 新田守男選手
    新田守男 選手

    「スタートした後、序盤でオーバーテイクするのは難しかったです。周りのマシンのペースが思ったよりも良くて、そう簡単ではなかったです。それで最少周回で交代する形になりました。やはり最低でもQ2に進出するくらいのポジションでないと苦しいですね。タイヤの落ち込みは少なくて、高木選手に交代すればいいペースで走り続けられて、ポジションを上げられるだろうと思っていました。」

  • 高木真一選手
    高木真一 選手

    「公式練習の時からロングでのタイヤのパフォーマンスは満足できるものだったので、とくにレース後半にはいい形になるんじゃないかと思っていました。セーフティカーは入りませんでしたが、マシンの調子も良く、1台1台オーバーテイクしてポジションを上げることができました。7位との差が大きかったので、残り5周くらいからは最後にプッシュしてタイヤをチェックすることもできました。」

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