K-TUNES RACING

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2022.5.3-4 富士スピードウェイ苦手富士にもかかわらず速さを発揮
過去最高の6位で今シーズン初入賞を果たす

AUTOBACS SUPER GT 2022、5月3日(火・祝)〜4日(水・祝)、第2戦富士が静岡県富士スピードウェイで開催された。

これまでシリーズ最大の観客動員数を誇ってきたゴールデンウィークの富士大会ということもあり、行動制限が解除されたこともあり、モータースポーツファンの姿は2019年までのレベルに、ほぼ戻っていたように見えた。
だがK-tunes Racingにとっては、そのパドックに辿り着くまで、大きな困難が待ち受けていた。開幕戦でクラッシュしダメージを負ったマシンを、復活させる必要があったからだ。ヘアピンで他車に追突した後、ストレートに戻ってきた96号車は強い風圧でエンジンフードがめくれ上がり、視界を奪われた高木真一選手はコースサイドへマシンを寄せたものの、コンクリートウォールにクラッシュしてしまった。
そのダメージは小さくなかった。フロント部分は大規模な補修が必要となったのだが、そのために費やせる時間が十分ではなかった。しかしK-tunes Racingのメカニックたちは、トヨタ側の協力も得ながら、ハードワークで何とか間に合わせることができた。

気になるのは、マシンがどれほどのパフォーマンスを発揮してくれるのか?? ということだ。レーシングマシンである以上、走った結果が重要であり、最終的には走らせてみないと判らない部分も存在する。
前週の鈴鹿でのメーカーテストで修復直後のマシンのステアリングを握った高木真一選手は「全く問題ないです。開幕戦で走らせていたのと、全く違いが判りません。ここまでマシンを修復して、仕上げてくれたチームメカニックに、本当に感謝しかありません!」と、笑顔だった。準備は整えられていた。

2022年から、SUPER GTには新しいレースフォーマットが導入された。それは通常の300kmのレース距離を1.5倍とした、450kmレースの採用だ。今回の富士、8月の富士と鈴鹿の3大会が450kmで行われる予定だ。ピット作業は燃料補給が2回、ドライバーは2人以上、タイヤ交換については自由となっている。
LEXUS RC F GT3は重量級マシンなので、タイヤの負担は大きく、無交換作戦は困難だ。このあたりはFIA-GT3マシンではなく、GTA-GT300(旧JAF-GT)マシンにとってメリットになることだろう。タイヤ交換のタイミングに自由度が高いので、さまざまなレース戦略を組み立てることができるはずだ。
昨シーズンまで不利な戦いをしてきたFIA-GT3だが、基本的な性能調整(=BOP)が見直され、その差は小さくなったように感じられた。しかし450kmのレースフォーマットでは、その差が再び開いてしまうことが予想された。
しかも富士スピードウェイはRC F GT3にとって、得意なコースではない。予選最高位は7位、決勝レースでも10位が1度あるだけ。つまり過去10度の富士大会で、たった1ポイントしか獲得できていないのだ。
またもや苦戦か?? 修復したマシンのコンディションが良く、ひと安心という空気が流れていたK-tunes Racingだったが、今週末もまたいい夢を見ることはできないのか……。

公式予選、Q1を担当した高木真一選手は快挙を成し遂げた。なんとA組トップタイムをマークしたのだ。もちろんK-tunes Racingはポールポジションを獲得したことはある。しかし苦手とする富士となれば、ハナシは別だ。
確かにダンロップタイヤ、昨シーズンからは一発の速さは十分ある。実際、開幕戦の予選でも、ダンロップ勢が上位を占めている。しかし96号車が富士で予選トップタイムを得るというのは、まさに快挙という他にない。
続く予選Q2、新田守男選手は高木真一選手からのフィードバックを元に、マシンの微調整を行い、最初のアタックで2位のタイムを記録。さらに続けてアタックに入っていき、コントロールラインからダンロップコーナーまで、セクター2までをポールポジションを獲得することになる#61BRZを上回る、全体のトップで通過。しかしセクター3でスローダウンしているマシンに引っかかってしまい、ポールポジション奪取は幻に終わった。
最終的には予選3位。もちろん富士での過去最高位である。

期待が大きく膨らむ一方、450kmというレース距離がどのように影響するのか?? 決勝レースは快晴の明るい空の下、スタートを切った。スタートドライバーは高木真一選手で、新田守男選手、再び高木真一選手へという、2回のピット作業でドライバー交代とタイヤ交換も行うスタンダードな、いわば正攻法のレース戦略をK-tunes Racingは選択した。
問題はタイヤの性能低下がどういった傾向になるのか?? ということ。どんなタイヤでも周回を重ねるとラップタイムが落ちていく。その落ち幅がライバルよりも小さければ前へ出ることができ、大きければ後ろへ下がることになる。
高木真一選手は好スタートで3位のポジションをキープしたまま、レースは進んでいった。ただ10周目あたりからタイムが落ちはじめ、14周目に1台、15周目に2台にオーバーテイクを許し、6位へ。しかしそこからはポジションを落とすことなく、ライバルたちよりも比較的早めのタイミング、25周目に新田守男選手へと交代した。
昨シーズンまではタイムの落ち込みが大きかったのだが、ダンロップタイヤの進化もあり、大きく改善されていた。これは今シーズンの戦いにプラスになることは間違いない。

新田守男選手はライバルたちを上回るペースで、ポジションを戻していく。しかしレースに波乱が起きる。13位となっていた39周目に#22AMGがクラッシュして赤旗中断。コース修復にも時間がかかり、再スタートまで40分以上が費やされた。
再スタートが切られ、50周でGT300クラス全車が1度目のピット作業を終え、新田守男選手は8位に。しかし54周目、GT500クラスのマシンがホームストレートでクラッシュ。2度目の赤旗中断でも、コース修復にも1時間以上の時間が費やされ、セーフティカーによるスタートが切られたのはレース最大延長時間の10分前。セーフティカーが解除されないまま、チェッカーフラッグを受けた。
新田守男選手は7位のポジションだったが、前を走るマシンがペナルティにより繰り上がり、6位でフィニッシュ。決勝レースでも、富士最高位を更新した。

コメント

  • 影山正彦チーム監督
    影山正彦 チーム監督

    「最低限の目標としていたシリーズポイント獲得ができ、いいレースができた思います。前戦でのクラッシュからの修復をチームメカニックや関係各社の力で、限られた時間の中でもしっかりと形にできたことが、今回のレースにつながったと思います。本当に感謝したいですね。次は得意の鈴鹿ですが、いいレースができるように、しっかりと準備をしたいと思います」

  • 新田守男選手
    新田守男 選手

    「赤旗中断が2度あってレースは半分ちょっとで終わってしまった形ですが、大きなクラッシュをしたドライバーが無事で、それがまず何よりですね。マシンのバランスが少し問題があったので、タイヤをセーブしながらロングを意識して走っていたような状況でした。富士を攻略するには、もっともっと進化が必要ですね」

  • 高木真一選手
    高木真一 選手

    「最初の10周くらいまではペースは悪くなかったんですが、その後は気温が低かったこともあったのか、ちょっと苦しいレースになってしまいましたね。不得意な富士で、今回6位入賞できたことは、嬉しいですね。マシンを完璧に修復してくれたチームに感謝しています」

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