K-TUNES RACING

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2021.3.6-7 公式テスト精力的にタイヤチェックを実施
昨年からの進化を果たせるか?

SUPER GTシーズンの幕開けは、岡山国際サーキットでの公式テストというのが恒例だ。今年もまた3月6日(土)~7日(日)の2日間、新しいシーズンを戦うマシンとドライバーが終結した。

K-tunes Racingの2021シーズンの体制は、2020年をほぼそのまま引き継いでいる。3シーズン目にして初めて優勝ナシ、表彰台ナシ、最上位4位という厳しい結果に終わった2020シーズン。今シーズンは、何かを入れ換えるのではなく、あえて同じ体制とし、チーム全体のレベルアップを目標とすることを決断した。
影山正彦チーム監督、そして新田守男選手と阪口晴南選手というメンバーも同じ。ただLEXUS RC F GT3は新車へと更新されているが、スペックなどは変更がない。新車ということもあり、まだ2021シーズン用のカラーリングが施されておらず、カーボン素地のままのブラックのボディパネルと、ホワイトのスチールボディのまま、サーキットに持ち込まれた。

阪口晴南選手は今回のテストには他のチームからの参加となった。入国できない外国人ドライバーの代役として、#37Keeperトムスのテストを担うことになったからだ。将来が期待される阪口晴南選手が、いずれGT500クラスへとステップアップすることは間違いない。そういう面では阪口晴南選手のキャリアにとってはプラスになることだろう。
気になるのは、テストに参加しないまま、K-tunes Racingに戻ってレース参戦することに対して、不安はないのだろうか?おそらく問題ないはずだ。すでに2年間、LEXUS RC F GT3で戦ってきており、GT3車両ゆえにマシンの大きな進化はなく、すぐに感覚を取り戻すことができるに違いない。
その阪口晴南選手の代役としてK-tunes Racingのレーシングスーツを身にまとったのは、平良響選手。沖縄出身で、阪口晴南選手よりも1つ年下の20歳。昨年はプロドライバーへの登竜門であるFIA-F4で見事チャンピオンを獲得、今シーズンはスーパーフォーミュラ・ライツへとステップアップを果たしている。
もちろんSUPER GTは初体験。昨年からスーパー耐久シリーズでツーリングカーレースは経験済みだが、経験値は十分とはいえない。それでもFIA-F4とGT300クラスではラップタイムが近く、スピードに対する対応は全く心配ない。

合同テストの最大の目的は、やはりタイヤだ。昨シーズンに続いて供給を受けるダンロップからは、多くのタイヤが持ち込まれた。様々なスペックのタイヤの中から、K-tunes Racingが求めるものを見つけ出すことが、今シーズンのレース結果を大きく左右することになる。それを担当するのは、ベテラン新田守男選手。阪口晴南選手不在である以上、そのテストのほとんどをひとりで担うしかない。
土曜日の午前中から細かくピットインを繰り返しながら、タイヤのチェックをしていく。ひとつひとつ、スペックの違いを理解しながら、グリップレベルやフィーリング、そして耐久性を検証していく。予選で使用したタイヤで決勝レースをスタートしなければならないSUPER GTでは、タイヤには一発の速さよりも長距離での安定したタイムが良い結果を生むことにつながる。
ダンロップタイヤの予選一発の速さは、昨年に実証済み。問題はレース距離の中で、いかにコンスタントにアベレージの高いラップタイムを刻むことができるか?それを見つけ出すことが求められた。
そして岡山国際サーキットの比較的コンパクトなピットガレージに、全く収まりそうにないほどのタイヤからは、昨シーズンよりもマッチしたスペックを見つけ出すことに成功。2日間ともに、ドライコンディションに恵まれ、しっかりと走り込むことができたことも、K-tunes Racingをアシストしてくれた。

新田守男選手のハードワークの合間には、平良響選手がステアリングを握り、SUPER GTのルーキーテストが行われた。これは新たに参戦するドライバーを審査するもので、速さく安定した走りができ、周囲のマシンに十分注意力を持つことができるか、といった内容がチェックされる。2クラス混走という混乱するレースで、安全に参戦できる能力が求められるのだ。
もちろん、平良響選手はルーキーテストに一発で合格し、SUPER GTシリーズへの参戦資格を勝ち取ることができた。

影山正彦チーム監督は「トライ&エラーで数あるタイヤのチェックを消化していき、方向性を確認することができました。それでも、まだまだ満足できる状況ではないので、チームとタイヤメーカー、お互いにもっと進化していければ、いいシーズンになると思います」というコメントだった。
1カ月後には開幕戦を迎えることになる岡山国際サーキットで、まだまだ不十分ではあるものの、K-tunes Racingの2021シーズンに、わずかな光が差したかのようだった。

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