K-TUNES RACING

レース結果が運に左右されず、
スピーディな再開が可能に!

以前から運用テストをしてきたFCY(エフシーワイと読む。フル・コース・イエローの略)が、ついにSUPER GTで導入されることになった。すでに耐久レースでは一般的で、F1でも同じルールがバーチャルセーフティカー(VSC)という名称で採用されている。

何らかのアクシデントが発生し、それに対応するためにレースを制限するルールは、これまで3つあった。イエローフラッグは、表示されているコーナーでの追い越し禁止。セーフティカーは、スロー走行で先導するセーフティカーの後ろに続いて隊列を整えて走行を続ける。そしてレッドフラッグは、レース中断だ。
今回導入されるFCYは、イエローフラッグとセーフティカーの中間の扱いになる。
FCYが宣言されると、全てのポストでFCYボードが提示され、マシンにもFCYを知らせる表示が出て、全車が同じタイミングで減速し、80km/h以下で走行しなければならない。もちろん追い越し禁止で、前後のマシンとの間隔を維持したまま、解除されるまで低速での走行が続く。その安全が確保されている状況の中で、コースマーシャルなどが作業し問題を収拾することになる。
つまりFCYが出ている時は、コース上がスローモーションになる、ということだ。
FCY解除時の再スタートも全車同じタイミングとなるので、それまでのレースの流れを維持したまま、レースは再開されることになる。

セーフティカーでは、GT500のトップのマシンの前にセーフティカーが入り、その後ろに全車が隊列を組むことになる。それまでのリードがゼロになり、再スタートで仕切り直しになる。ファンにとっては、もう一度スタートシーンを見ることができ、またレースの流れを変え順位を一変させるようなシーンが何度も展開されてきた。それはそれで耐久レースの楽しみのひとつでもあったことは間違いない。
しかし、例えばGT300の順位は考慮されず、セーフティカーが入ったポジションによって、レースに大きな影響を与えることもあった。例えば1位と2位の間に、GT500のトップのマシンが居た場合、1位のマシンはセーフティカーより前に居るので車列の後ろに並ぶことになり、2位のマシンに対して1周プラスされた状況でレース再開となる。
FCYではそうした運・不運が基本的には起きない。FCY宣言と同時にピットレーンが閉鎖されるので、ピット作業のロスタイムを実質的に最小化することもできない。またセーフティカーの場合にはGT500とGT300をそれぞれ整列させるために再スタートまで数周が必要になるが、FCYではスピーディにレース再開が可能だ。
重要なのは、FCYは全車が同時に減速するのが大前提だということ。FCYの認知が遅れたマシンはレーシングスピードを維持していて、認知してスローダウンしたマシンはレースがペンディングされたと思っている、というような状況では大きなアクシデントにつながりかねない。

影山正彦チーム監督は「FCYが出るタイミングによっては、運に左右される場合も出てくる可能性はありますが、セーフティカーのように明暗がハッキリと大きく出てしまうようなことは起きにくいと思います。レースを戦っている者としては、他車のアクシデントに影響されにくいということで、いい方向だと思います」と、FCYについて評価した。
新田守男選手は「FCYというシステムは、セーフティカーよりも不平等性がなくなるので、いいことだと思います。ただコース上でGT500とGT300の速度差が大きい場所があったり、コースによっては数珠繋ぎになりやすいところもあるし、そうした部分でトラブルが発生しなければいいな、と思っています」

運・不運が出にくく、それまでのレース展開が維持され、しかも素早くレース再開できるFCYは、SUPER GTの新しい魅力になるかもしれない?!