K-TUNES RACING

2020.11.7-8 ツインリンクもてぎレースペースが苦しく下位に沈むも
絶好のチャンス到来!しかし…

2020 AUTOBACS SUPER GTシリーズも残り2戦。その大詰めの第7戦が、11月7日(土)~8日(日)、栃木県ツインリンクもてぎで行われた。チャンピオン争いは、#65AMGがトップに立っているものの、その差はわずかで、#11GT-R、#61BRZと続いていて、基本的にチャンピオン決定は最終戦まで待たされることが確実だ。

残念なのは、その中にK-tunes Racing 96号車が含まれていないことだ。2018年、2019年と最終戦までチャンピオンの可能性を残し、とくに2019年はシリーズ2位という結果を手にしてきた。それが今シーズンは、ここまで入賞が4位と5位、それぞれ1度ずつ。合計15ポイントを獲得しているが、残り2連勝したとしても55ポイントで、数字上ではチャンピオンの可能性はあるものの、上位陣が2戦連続無得点に終わることが前提であり、非現実的だ。
それでも前戦鈴鹿で5位を得たことは、大きな成果だった。予選でポールポジションを獲得したことで、K-tunes Racing 96号車は予選での一発の速さを持っていることを証明できた。決勝レースではレースペースに苦しみながらも、何とか5位入賞を勝ち取ることができた。シーズン2度目の入賞によって、ドライバーズランキングも14位にまで上げることができた。
まだダンロップタイヤに対してのノウハウやデータは、十分とはいえない。それだけに昨シーズンまでのようなレース後半での追い上げは難しい。ただ苦しい状況の中でも、上位入賞まで持って行けるようになったことは、大きな進歩といえるだろう。

ツインリンクもてぎは、今シーズン2度目の開催となる。その第4戦では4位入賞を果たしている。しかしRC F GT3にとってはマッチしたコースとはいえない。ライバルAMGのような大排気量+軽量、あるいはGT-RやNSXのようなターボパワーのあるマシンが有利で、それはストップ&ゴーというコースレイアウトのためだ。低速までのフルブレーキングしてコーナリングしフル加速、というパターンを繰り返すため、エンジンパワーが大きくモノを言うのだ。

第4戦での4位には、ライバルたちが多くのウエイトハンデを背負っていたことも無視できない。ブレーキに厳しいコースだけに、ウエイトが多くなるとその負担は急激に大きくなる。レーシングマシンはつねにブレーキング性能の全てを使い切り、速さにつなげているからだ。まだその時点で入賞していなかったので、96号車にはウエイトハンデはゼロだったことが、相対的に競争力を高めていた。
しかし今回、最終戦のひとつ前のレースということで、ウエイトハンデは半減となっている。つまりシリーズポイント×3kgではなく、×1.5kgとなっているのだ。K-tunes Racing 96号車も同じ条件ではあるのだが、前戦で5位となったため、ウエイトハンデは24kgから23kgへと、わずか1kgしか軽減されなかった。

予選Q1、阪口晴南選手がアタック。開始時間より間を取ってコースインし、ゆっくりと2周をかけてタイヤをウォームアップ。コンディションをしっかりと整えてアタックし、1分47秒120というタイムをマーク。A組3位で、予選Q2へと進出を果たした。GT300クラスのドライバーの中では、間違いなくトップレベルの速さを持つ阪口晴南選手が、苦手なコースでもトップに肉薄する予選の速さを見せたのだ。
そして予選Q2、阪口晴南選手の走行データなどをフィードバックし、さらにセッティングを微調整して新田守男選手がアタック。しかしその微調整が裏目に出てしまい、タイムアップするどころか、むしろ1分47秒639へと低下してしまい、予選13位という結果になった。やはりまだまだダンロップタイヤについての理解が不足しているようだった。

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2020.11.7-8 ツインリンクもてぎレースペースが苦しく下位に沈むも
絶好のチャンス到来!しかし…

決勝レースが行われた日曜日、この時期のもてぎとしては、意外なほどに温かい天候だった。そうしたコンディションの変化が、マシンのパフォーマンスに好影響を与えることに期待感もあった。

しかし13位からスタートした新田守男選手は、レースペースを上げることができず、その集団に飲み込まれたまま、トップグループから1周2~3秒という大きな差がコンスタントに拡がっていった。
ペースを改善する大きなチャンスはタイヤ交換だが、それはドライバー交代のタイミングまで待たなければならない。レギュレーションとしては今回のモテギでは18周終了時点で可能になる。しかし燃費の問題もあり、実際にピットロードへ入って来たのは21周目となった。ピットインした時の順位は11位だった。
そして奇跡的なことが起きた。ピット作業が進む中、コースオフしたマシンを回収するため、セーフティカーが入ったのだ。セーフティカーが入ると再スタートする前に整列するため、トップのマシンとのタイム差が消えてしまう。トップグループのマシンはまだピット作業を終えていないので、彼らは再スタート後にピット作業をするので、そのロスタイム分=約1分のハンデを持つことになる。

阪口晴南選手へのドライバー交代、タイヤ交換、そして燃料補給を受けたK-tunes Racing 96号車は、コースへと復帰した。ピット作業を終了したマシンの中では4位! 再スタートをし、上位陣がピット作業へと入れば表彰台目前の4位というポジションとなる。
しかし再スタートして判明したのは、阪口晴南選手はコースに戻った段階ですでに周回遅れになっていたことだった。1周のラップタイムは約2分とすると、トップグループがピット作業に入って約1分タイムロスしても、まだ1分足りないことになる。

17位というポジションで再スタートした阪口晴南選手は残念なことに新田守男選手と同様、レースペースが上がらない。周囲のマシンと同じペースで走るのが精一杯で、追い上げは難しい。もちろんトップグループのマシンはピット作業を終えても、K-tunes Racing 96号車よりも前のポジションでコース復帰を果たす。
その後、多少の順位の変動はあったものの、最終的に17位でチェッカーを受けた。優勝したのは#56GT-Rだった。

もしピット作業前のレースペースが、もう少しだけ速ければ、周回遅れになることを回避でき、上位入賞も可能だったに違いない。絶好のタイミングを得て、大きなチャンスを手にしたかに見えたが、結局速さに欠けることで、それを結果に結びつけることができなかったのである。

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