K-TUNES RACING

2020.10.3-4 富士スピードウェイ速さを見せた予選7位から一転
決勝レースは作業ミスもあり26位

過去2シーズン、K-tunes Racingは富士スピードウェイで大きな成果を残して来なかった。正直にいえば、苦手なコースである。その4レースで入賞したのはわずかに1度。(2018年第5戦10位)予選Q1を突破できたのも1度だけ。(2019年第2戦)チャンピオン争いに顔を出してきたチームとしては、例外的に好成績を残せないサーキットだった。

それは今シーズンになっても変わることなく、第1戦、第2戦とやはり苦戦した。今シーズンから採用したダンロップタイヤのデータ不足の影響もあったとは思うが、苦戦するのはそれ以前に折り込み済みだった。
そして第5戦のステージは再び富士に戻ってきた。いかに前戦もてぎで4位という表彰台一歩手前の好成績を残したとはいえ、富士が苦手であるという事実が覆ることはない。それでも第1戦、第2戦の時よりもライバルたちのウエイトハンデが増大していて、その分だけK-tunes Racingの96号車に有利になっている、というのがgood newsだ。ウエイトハンデ上限である100kgに達しているのは、#11GT-R、#61BRZ、#65AMGと3台にもなっている。96号車も前戦の4位によって8ポイントを獲得したことで、24kgのウエイトハンデが与えられているのだが、その差はかなり大きい。

予選Q1、Q2進出への期待感はそれほど大きくなかった。しかし阪口晴南選手はその停滞気味の空気を一掃、快走をみせA組8位のタイムをマークした。ギリギリとはいえ、見事Q2への進出を果たしたのだ。
その勢いが後押ししたのか、新田守男選手もまた予選Q2を7位というタイムで終えた。その前に居並ぶ6台は、フロントローこそウエイトハンデの少ないJAF-GTだが、2列目と3列目には富士スピードウェイを得意とするマシンが大きなウエイトハンデを背負いながら並ぶことになった。つまり、彼らはそのウエイトがタイヤの負担を大きくし、レース後半にはペースが厳しくなる可能性が大きい。
第4戦もてぎで、表彰台に届かなかったK-tunes 96号車にとって、まさに絶好のチャンスが到来したように思えた。苦手意識のあった富士スピードウェイだからこそ、期待以上の予選結果に決勝レースへ大きな希望が見えていた。

決勝レース、スタートドライバーを担当したのは新田守男選手だった。ベテランらしく上手く後続のマシンを抑えてスタートを切ったものの、そのオープニングラップでGT500クラスのマシンがクラッシュして、すぐさまセーフティカーが入るという展開に。GT300クラスは半周走ったが、96号車の順位はスタートと同じ7位だった。
6周目に再スタートとなり、新田守男選手は予選Q2で見せた速さを再現できれば、そこから追い上げていくことが予想された。しかし実際にはレースペースが伸びず、後続のマシンから激しいプレッシャーを受けることになっていく。周囲のマシンよりも明らかに速さが不足しており、ブロックラインで抑えることもできない。11周目にオーバーテイクを許し8位となると、続く12周目には10位、そして16周目には13位にまでポジションを落としてしまった。

速さを取り戻すためにタイヤ交換を試したいところだが、SUPER GTでは1人のドライバーがレースの3分の2以上走ってはいけないことになっている。つまり新田守男選手は3分の1を走り切る以前にタイヤ交換すると、同時にドライバー交代できない。となるとピットインの回数が2回になってしまい、ロスタイムは大きくなる。
結局、ピットインしたのは23周目。交換したニュータイヤで阪口晴南選手がハイペースで追い上げてくれるか?

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2020.10.3-4 富士スピードウェイ速さを見せた予選7位から一転
決勝レースは作業ミスもあり26位

しかし、ここでピット作業にミスが出てしまう。SUPER GTの通常のピット作業にはドライバー交代、タイヤ交換と燃料給油という、合計3つの作業がある。そのうち給油作業中は、ドライバー交代以外の作業は許されていない。つまり給油とタイヤ交換は同時並行して作業できないのだ。

一般的には(1)リヤタイヤ2本交換、(2)給油作業とドライバー交代、(3)フロントタイヤ2本交換、というのが作業順序となる。リヤタイヤ交換の作業終了を確認してから給油作業を始める必要があり、また給油作業が完全に終了してからフロントタイヤの交換を始めなければならない。
今回のピット作業では、その両方で作業が重複してしまい、ドライブスルーペナルティを受けることになってしまった。ピットレーンを通過するだけだが、制限速度は50km/hであり、約30秒ほどのタイムロスになってしまう。コース上で取り返すとすれば、1周1秒ずつ速かったとしても30周が必要なタイム差となってしまうのだ。

ただ残念なことに、そのドライブスルーペナルティは、大勢に影響なかった。それ以前に、ピット作業でミスをしたことによってピット時間が伸びてしまい、コースに戻った時には最下位にまでポジションを落としてしまったからだ。
しかも阪口晴南選手のペースもまた、ニュータイヤへ交換したことで少しは取り戻したものの、新田守男選手同様に厳しいものだった。追い上げていくのは現実的ではない、というレベルだったのだ。

阪口晴南選手は26位でチェッカーを受けた。トップから2周遅れという、惨敗に終わった。もちろんピットスルーのペナルティを受けたこともあるが、予選とは異なるコンディション下で大きく速さを失ってしまったことが要因だった。
4位という結果を生んだ前戦から一転、チェッカーを受けたレースとしては過去最悪の26位となってしまった。コンディションに大きく左右されない安定した速さを手に入れるためには、まだまだ進化するしかない。

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