K-TUNES RACING

2020.9.12-13 ツインリンクもてぎ今シーズンの苦闘を一気に晴らす
見事な追い上げで今季初入賞の4位

全8戦で行われる2020シーズン、その折り返し点となる第4戦が9月12日(土)~13日(日)、栃木県・ツインリンクもてぎで行われた。K-tunes Racingは低迷していた今シーズンが嘘のように、あらゆるセッションで快走を見せ、最終的に4位という結果を手にした。

確かにこれまでのレースよりも、ライバルに対して優位なポイントはあった。その最大の要素はウエイトハンデで、シリーズポイント×3kgというウエイトがライバルたちに与えられ、速さを抑えてくれる。ポイントリーダーである#11GT-Rは35ポイントを獲得しているので上限となる100kgのウエイトハンデが与えられた。当然入賞していない#96K-tunes RC F GT3にウエイトハンデはなく、そのメリットを最大限受ける立場にあった。

ツインリンクもてぎは大きく減速しなければならないタイトな90度のコーナーが多く、いわゆるSTOP&GO=低速までのブレーキング後にフル加速、という構造のコースレイアウトになっている。これはブレーキングで有利な軽量なマシン、あるいは加速で有利な大排気量なマシンが、優位に立てることになる。そして残念ながら、LEXUS RC F GT3は、そのどちらにも該当しない。
それでも昨年の最終戦、終盤の追い上げで3位表彰台を獲得した。チーム戦略、マシンのセッティング、そしてドライバーのパフォーマンスによる、大きな成果といえた。

予選を前に行われる公式練習から、#96は良いパフォーマンスを見せていた。タイムは3番手で、トップタイムは#61BRZ、2番手は#31プリウスと、いずれも軽量なJAF-GTのマシンであり、重量級のGT3マシンとしては最速をマークした。
午後の公式予選でも、その速さは維持されていた。小雨が振る中での予選、B組となった#96K-tunes RC F GT3は、阪口晴南選手のドライブでトップタイムをゲット。開始早々の赤旗中断をはさみ、降雨量も読みにくく、タイムアタックが難しい状況にもかかわらず、マシンの速さを最大限に引き出して見せた。

予選Q2では、新田守男選手が快走を見せ、5番手のタイムを記録。細かくセッティングを合わせて望んだものの、他のマシンのタイムアップ幅が大きかったため、タイムは向上したものの、順位は5番手にとどまった。ポールポジションは#360GT-Rで、どうやらGT-Rがコースにはマッチしているようで、100kgのウエイトを積んだ#11GT-Rも予選11番手のタイムを得ていた。
しかし、それでも3列目からのスタートであり、レース展開によらず、自力で優勝が狙えるポジションを得た。今シーズンのここまでの戦いからは、想像できないほどの好結果となった。

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2020.9.12-13 鈴鹿サーキット今シーズンの苦闘を一気に晴らす
見事な追い上げで今季初入賞の4位

決勝レースが行われる日曜日、前日までの天気予報は小雨だった。ダンロップタイヤが持つ特性のひとつとして、ウエットタイヤが必要ないわずかな雨の中での速さ、がある。実際にそういう状況での速さを、昨シーズンまで見せられてきた。だから、その天気予報が的中することを願っていた。

しかし当日、ツインリンクもてぎの空に雨雲はなく、強い日差しが降り注ぐ快晴だった。決勝レースがスタートする午後には一気に雲が拡がったものの、レース終了までは雨が降ることはなかった。
例年ツインリンクもてぎは250kmレースだが、今回は他のサーキットと同じ300kmレースとなった。タイヤの負担は大きくはないが、ブレーキには厳しいレースが予想された。
スタートドライバーは新田守男選手が担当。序盤はスタート順位に近い5位~6位のポジションでレースが進んでいく。ツインリンクもてぎはオーバーテイクが難しいコースのひとつで、ポジションを上げるには大きなタイム差が求められる。GT500のマシンがGT300のマシンをラップしていくにも、苦労するシーンも見られた。

8周目、V字コーナーでクラッシュが発生。セーフティカーが入り、それによって発生した渋滞の影響でクラッシュもあり、再スタートは13周目にまで待たされた。新田守男選手はベテランらしい落ち着いた走りで6位をキープ、上位入賞を狙う。
20周目からドライバー交代を実施するチームが現れ、21周目、22周目と増えていくが、K-tunes Racingがピットへマシンを呼び戻したのは23周目。早めのドライバー交代を計画したチームとしては遅いタイミングとなった。

燃料補給と4輪タイヤ交換をしたこともあり、阪口晴南選手は20位へとポジションを落としていた。燃費が厳しいこともあり燃料の補給量が多くなり、ピット作業時間が伸びてしまっていた。
しかし阪口晴南選手の追い上げは激しく、シーズン初ポイントへ向かって突き進んだ。26周目に15位、30周目に13位、そして36周目にはライバル#55NSXをオーバーテイクして入賞圏内の10位へ。39周目には、ドライバー交代のタイミングを遅らせていたトップ2台がピットへ入り、自動的に8位となった。
42周目GT500のマシン同士が接触し、コース上のパーツを回収するためにセーフティカーが入った。これによって上位のマシンとの差が大幅に縮まることに。
48周目に再スタートすると、タイヤ無交換でラップタイムを落としていた#25ポルシェをオーバーテイクして7位へ。前を走るのは100kgのウエイトハンデを背負った#11GT-Rだったが、接近はしたもののオーバーテイクは難しい。
すると56周目、トップを走る#360GT-Rがエンジントラブルでストップ。58周目には#11GT-Rを捕らえて5位。そしてファイナルラップでは#9アストンマーティンがスローダウンして、4位でチェッカーフラッグを受けた。優勝したのは#65AMGで、タイヤ無交換でピット作業時間を短縮したことが勝因となった。#96K-tunes RC Fは、そこから約9秒遅れでのゴールだった。

チームは、まるで優勝したかのように歓喜に包まれた。それは今シーズンの苦闘からの脱出したことの喜び、そしてシーズン後半への期待感の高まりだったに違いない。

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