K-TUNES RACING

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2019.9.7-8 オートポリス3度のセーフティカーと降り出した雨
波乱のレースを乗り切り5位を獲得

獲得したシリーズポイントの2倍のウエイト(kg)をハンデとして搭載しなければならないのがSUPER GTのルール。だが最後の2戦、第7戦は半分に、最終戦はウエイトハンデがキャンセルされる。つまり今回の第6戦は、重量級バトル最後のステージということになる。K-tunes Racingなど好成績を挙げてきたチームにとっては最後の苦難であり、逆に成績を残せていないチームにとっては最後のボーナスステージとなる。

ただそれでも、シリーズチャンピオンを狙うにはオートポリスでのポイントの積み上げが欲しい。K-tunes Racingは開幕戦岡山、第3戦鈴鹿で優勝したものの、ポイントを獲得できたのはその2戦だけ。他の4戦はポイント圏内の10位に残ることができなかった。シーズン当初から目標としてきた「コンスタントに入賞する」という形には、全く到達できていないのだ。
だがポジティブな要素もある。それはオートポリスで昨年、優勝していることだ。マシンの特性はこのコースにマッチしており、速さを発揮することができるだろう。ウエイトハンデは昨年よりも多いが、ここ最近のレースよりは期待できそうだ。

土曜日の午前中に行われた公式練習では、10位のタイムを記録。その順位そのものよりも、トップと1秒差以内に入ったことのほうが重要だ。ただし予選Q1を突破するためには上位16台に残らなければならない。
予選Q1、担当したのは新田守男選手だった。コースインしてからしっかりとタイヤをウォームアップさせ、最初のアタックでは1分46秒027をマーク。これは悪くないタイムだが、影山正彦チーム監督は「予選Q1突破するには0.5秒くらい足りないかなと思った」という。そのまま連続して2度目のアタックに入っていった新田守男選手だったが、高速の複合コーナーでコースアウトしてしまい、そのままピットへと戻ってきた。そのまま予選Q1は終了。それでも影山正彦チーム監督が予想したよりも他のチームのタイムが悪く、14位で予選Q1を突破することができた。

ほとんどダメージはないと判断されたものの、コースアウトしたマシンのクリーニングとチェックをする必要があった。マシンの中に入り込んだ砂などを取り除かないと、オーバーヒートなどのトラブルにつながる可能性がある。わずか25分ほどのインターバルの中で、チームメカニックはアンダーフロアを取り外すほどの作業を素早く的確に行い、再び戦闘力を取り戻した。

予選Q2は阪口晴南選手が担当。持ち前の速さを発揮し、1分45秒395のタイムをマーク。最終的に8位で予選を終えることになった。予選でシングルとなったのは第3戦鈴鹿以来であり、上位を狙えるポジション。チャンピオン争いをしている#55ARTA NSX GT3の高木真一/福住仁嶺組はすぐ前の7位、#56リアライズ日産自動車大学校GT-Rの平峰一貴/サッシャ・フェネストラズ組がすぐ後ろの9位。チャンピオン争いしている3台が、スターティンググリッドで固まった形となった。

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2019.9.7-8 オートポリス3度のセーフティカーと降り出した雨
波乱のレースを乗り切り5位を獲得

予選8位ということは、上位に入ることは難しくない。だからチャレンジングな戦略を実行する必要はなかった。そうでなくても決勝レースは波乱の展開が予想されていた。それは雨だ。決勝スタートは14:30だが、その後15時過ぎから降雨という天気予報だったのだ。スタートから雨であればウエットのタイヤとセッティングで決勝レースに望めばいい。しかし途中で雨が降るとなると、どこかのタイミングでタイヤを交換しなければならないし、マシンのセットアップもドライとウエットの間のどこかになる。そして、途中で雨が上がってしまうとドライのタイヤへと交換することも必要になる。

SUPER GTではドライバー交代が義務づけられているので、タイヤ交換や給油などのピット作業も同時に行われる。そのタイミングと、雨が降り出すのが同時であれば1回分のピット作業=タイムロスが節約できる。上手くそこに合わせることができるように、チームは柔軟な戦略が求められた。
決勝レースのスタートドライバーは阪口晴南選手。スタートでポジションをひとつ落として9位となったものの、直後にGT500クラスのマシンがクラッシュしてコースアウト、そのマシン回収のためにセーフティカーが入った。まだ雨が降っていないのに、すでに波乱の幕が開いてしまった。
7周目に再スタートとなったレースは、トップ2が抜け出し、3位から5台が集団となって争う展開になった。96号車はその最後尾8位となっていた。ただ3位のマシンのペースが悪く、集団の頭が抑えられた密集した硬直した状況だった。阪口晴南選手は「コーナーでは追いつくことができるんですが、オーバーテイクのポイントでは相手が速く、前へ出ることはできませんでした」とコメントしている。

そして18周目、天気予報通りに雨が降り始める。ただその雨量は少なく、スリックタイヤでの走行も可能だったが、早めにタイヤ交換するチームも出始める。阪口晴南選手も、上位がタイヤ交換に入ったことで順位を上げ、23周目に6位、26周目に5位に。そのあたりから徐々にコースの一部では雨量が多くなり始めた。31周目に3位に上がった阪口晴南選手は、次の32周目にピットへ向かい新田守男選手へのドライバー交代とウエットタイヤへの交換を行った。
と同時に、そのタイミングでスピンしてコースサイドに止まったマシンを回収するためにセーフティカーが入った。12位まで順位は下がったものの、セーフティカーによってピットインした分のタイムロスはほぼゼロに。しかも上位のマシンはまだスリックタイヤのままで、96号車は実質的に3位になっていた。

再スタートとなった38周目、上位9台はそのままタイヤ交換のためにピットへ入り、見た目でも3位へと繰り上がった。トップは55号車だったが、ピットレーンでの他車との接触によってドライブスルーペナルティとなり後退。代わりにトップに立ったのは#88マネパランボルギーニGT3の小暮卓史/元嶋佑弥組だったが、#720マクラーレン720Sの荒聖治/アレックス・パロウ組がオーバーテイクし、トップを奪う。
しかし雨量はポツポツとかなり少なくなり、気温が高いこともあって路面は急速に乾いていった。新田守男選手はタイヤがオーバーヒートしてしまい、ラップタイムも苦しくなっていく。そんな中、スリックタイヤのままでレースを戦っていた#60SYNTIUM LMcorsa RC F GT3の吉本大樹/宮田莉朋組が、トップグループよりも10秒近く速いラップタイムで10位からわずか6周で一気にトップに駆け上った。そのまま優勝する。

新田守男選手は厳しくなったタイヤで残り周回を走りきったものの、最終的には5位となった。今シーズン初となる優勝以外での入賞となった。またシリーズチャンピオン争いをしている55号車は6位、56号車は8位と、いずれも後ろだったため、シリーズポイントの差を縮めることができた。
次戦、第7戦は宮城県・スポーツランドSUGOで9月21日~22日に開催される。ウエイトハンデは60kgから36kgへと軽減される。これはパワーの面で不利なRC F GT3にとっては朗報だ。シーズンもいよいよ終盤、白熱したチャンピオン争いに注目して欲しい。

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