K-TUNES RACING

OKAYAMA チャレンジカップレース第1戦 N1-86 レース第1戦 岡山国際サーキット

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まさかまさかの展開で、一時はトップを走行。最終ラップで逆転されるも価値ある2位入賞果たす。

岡山トヨペットを母体とするK-TUNES RACINGは、今年もさまざまなレースにチャレンジするが、そのひとつである岡山国際サーキットが舞台のOKAYAMAチャレンジカップレースのN1-86レースが、早くも幕を開けることとなった。ドライバーを努めるのは、チーム代表でもある末長一範選手だ。今年はアドバイザーに、スーパーGTで活躍する新田守男選手が就任。金曜日から行われた練習走行では、さっそく入念な指導が行われた。もちろん、狙うは末長選手にとって2014年以来となる、チャンピオンへの返り咲きだ。

大いに盛り上がりを見せるナンバーつきワンメイクレースのGAZOO Racing 86/BRZレースの陰に隠れはしているものの、知る人ぞ知るホットな戦いが繰り広げられているのが、OKAYAMAチャレンジカップのN1-86レースである。N1とは「量産ツーリングカー」を意味し、ナンバーが外されて公道走行こそ許されていないが、エンジンにファインチューニングが許され、パーツの交換は自由。大胆な軽量化がはかられ、車高も下げられる上に、その足元には競技専用のスリックタイヤさえ装着される。当然、その走りはより本格的で、ラップタイムでナンバーつきのGR 86/BRZ車両に比べ、実に5秒もの差が生じるほど。さらに高みを望もうとしている末長選手にとっては、恰好の素材と言えるだろう。今年はそのN1-86レースが耐久レース2戦を含む、全5戦での開幕が予定されている。
2チャンピオン奪還を目標とするからには、開幕ダッシュは何より重要。そこで金曜日から行われた練習走行では、説教的に走り込む末長選手の姿があった。その意気に応えるべく、チームは2台のマシンを持ち込み、もう1台を新田選手がドライブ。時には前から末長選手を引っ張り、時には後ろから走りをチェックしていた。

さて、シリーズ第1戦はワンデイレースとあって、日曜日の午前中に予選を、そして午後に行うスケジュールとなっている。その予選は同じN1のロードスターとの混走。8秒ほどラップタイムに違いがあるため、いかにうまく渡り合っていくかも、好タイムを出す秘訣となっていた。予定どおり10時20分から予選は開始。わずか15分間の計測とあって、一時たりとも無駄にはできない。ピットレーンがオープンになると同時に、末長選手はコースへと飛び込んで行く。コンディションには恵まれたものの、まだ3月下旬ということもあって、温度は低め。ただし、岡山国際サーキットはこのオフに全面的に路面を改修しており、「走りやすくなった」と誰からも大絶賛。この機会に好タイムを出しておかぬ術はない。
まずは入念にタイヤへ熱を入れ、2周目からアタックを開始した末長選手。1分49秒531をマークして、その後の伸びが期待されるも、思うようにタイムが上がらず。早々にアタックを切り上げてピットに戻ってくる。不安は的中した・・・。
何度も引っかかってしまい、タイミングが合わなくて。そこでピットに戻って(タイヤの)内圧を見て、また行こうかと思ったけど、もう時間がなかった。美味しいところの2、3周を思うような形でできなくて残念です。予選に関しては不完全燃焼でしたから、その分は決勝で燃やしますよ」と末長選手。決勝には2番手から臨むこととなった。
予選終了からほぼ5時間のインターバルを経て15時25分にスタート進行が開始。ゆっくりと末長選手はピットを離れグリッドに進んでいく。前にいるポールシッターはベテランの檜井保孝選手。相手にとって不足はない。N1-86のみで10周で争われる決勝のスタートで思いがけぬ光景が! なんと檜井選手が完全に出遅れてしまったのだ。これで末長選手が、1コーナーへのホールショットに成功する。しかしながら、檜井選手も大きく遅れることなく続き、コーナーをひとつ駆け抜けるごとに差を詰め、ヘアピンではトップを奪い去る。だが、抜かれた後の末長選手も、立場を入れ替えたかのように檜井選手に食らいついて離れず。

そんな好勝負も、長くは続かなかった。4周目に入って檜井選手に対し、ドライビングスルーペナルティの指示が下されたからだ。スタートの出遅れの前にも、マシンが動いてしまったのが原因だった。やむなく檜井選手はピットピットに戻り、末長選手が待望のトップに躍り出る!誰も前にはいない快適なクルージングを楽しみたいところだが、そうにもいかぬ理由は、終盤にかけて檜井選手が一気に差を詰めてきたからに他ならない。
ラスト2周でアトウッドコーナーの入口と出口で、互いの存在を確認するまでとなり、最終ラップにはモスSで、ヘアピンで、そしてWヘアピンで牽制をかける檜井選手。だが、そのつどガードを末長選手は固め続ける。これで勝負あったかと思われたのもつかの間、マイクナイトコーナーで檜井選手は縁石に乗せてまでインを突き、無情にも末長選手からトップの座を奪い取る。そして、末長選手はコンマ6秒差での2位フィニッシュとなった。
「檜井選手がスタート前に動いたのは、気づいていました。『あれ?』っと思ったけれど、それより自分のスタートの方が大事だから、しっかり集中しようと。そうしたら、また檜井選手がスタートに失敗したから、『うおっ!』と。なのに、すぐに突いてこられてね。それでも一生懸命着いていったら、ペナルティの旗が出て、さっきのだな、と。これはチャンスあるかもしれないと思って必死にプッシュしたんですが、ラスト2周ぐらいから見えてきて。最終ラップはどうにかこうにか防ごうと思ったんですが、最後に抜かれてしまいました。かなり手応えもあったんですけどね……。でも、楽しかったですよ、これで結果が伴えば、もっと良かったですけど。いい経験にもなりました!」と末長選手。
惜しくも逆転を許してしまったとはいえ、これでトップを走るシミュレーションは完璧にできた。今後より一層の活躍が、末長選手に期待できるだろう。次回のレースは4月23日に今季初の2時間耐久として開催される。アドバイザーの新田選手と、手を携え合って優勝を目指すのは言うまでもない。