K-TUNES RACING

2021 Rd.1 Preview2年ぶりの地元開催となる開幕戦
K-tunes Racingの進化に注目

昨年はシーズン全体のスケジュールが見直されたこともあり、岡山国際サーキットでの開幕戦はキャンセルされてしまった。そのためK-tunes Racingの地元開催は2年ぶりということになる。

2021年、K-tunes Racingにとって最初の大きなトピックスは、2月にファクトリーがオープンしたことだ。これまでは専用ガレージを持たず、旧店舗などを使用しマシンのメンテナンスを行ってきた。そして昨年から建築をスタートさせ、スタッフからもアイディアを集め、ゼロから設計したファクトリーがついに完成。その規模は国内の他のレーシングチームに誇れるレベルであり、マシンをそのまま乗せる大型の精密定盤を含めて、装備面でも不満はなさそうだ。
ピカピカのフロアの上には、N1仕様の86、インタープロト、そしてRC F GT3といったK-tunes Racingのマシンたちが陣取り、レースメカニックにとっても待ち望んでいた環境が整ったといっていいだろう。
今後さらなる進化を果たすK-tunes Racingにとって、重要なメモリアルポイントとなるに違いない。

しかしSUPER GTの2021シーズン、チームに大きな変化はない。LEXUS RC F GT3だがニューマシンへチェンジ、タイヤは昨年に引き続きダンロップタイヤを使用する。
チームメンバーも、影山正彦チーム監督の指揮の元、3度のGTチャンピオンで通算22勝を誇るベテラン新田守男選手と、今シーズンからスーパーフォーミュラへとステップアップを果たした若手21歳の阪口晴南選手というコンビネーションは不変。2019年以来の、3年目の組合せとなった。メカニックは数人が加わったものの、多くのメンバーは同じ顔ぶれとなっている。
表彰台ゼロ、最上位4位という厳しい結果となった2020シーズンからの脱却を目指し、K-tunes Racingは何かを変えることを選択せず、あえてチーム全体のレベルアップにその答えを求めることにした。データ、ノウハウ、技術、そして精度。チーム全員がレベルアップを果たすことで、チーム力を向上させ、レースでのパフォーマンスを高める狙いだ。それがレース結果を向上につながるのはいうまでもない。

2021年シーズン、例年のように2度の公式テストが実施されたが、いずれも阪口晴南選手の代役として平良響選手がステアリングを握った。そして開幕戦でも、平良響選手がドライバーとしてチームに参加することになった。SUPER GT初参戦だ。
すでに公式テストで十分な走行距離を経験しており、影山正彦チーム監督も「フォーミュラ育ちでツーリングカーの経験が少なくて、GT3のような重たいマシンの扱いに難しい部分はあると思うけど、速く走るという部分では全く問題ないレベル。あとはロングでの走らせ方だけ」と富士の公式テスト後にコメントしている。
また2度の公式テストで見せた安定感のある落ち着いた走りも印象的で、昨シーズンのFIA-F4で圧倒的な強さを見せてチャンピオンを獲得しているのはフロックではない。

大量のタイヤテストの大半をひとりで担った新田守男選手は、積み上げたデータと選別したスペックによって、少しずついい方向に向かっていると言う。「開幕戦からいきなりトップ争いというのは難しいけど、中盤以降にはいい結果を出せるといいな、と思っています」。昨シーズンから予選一発の速さを出すことは難しくなかった。問題はレースで周回数が増えていった時のタイヤの性能低下で、ドライバーの走らせかた、マシンのセッティングを含めて、いかに性能を維持することができるか?もちろんそれにはタイヤの進化も必要となる。

2年ぶりの地元岡山開催となる今シーズン開幕戦は4月10日(土)~11日(日)。土曜日の午前中は公式練習、午後に予選、そして日曜日の午後に300kmの決勝レースという、これまで通りのフォーマットで実施される。2年前の岡山国際サーキットでは雨とクラッシュで混乱したレースを制し、見事優勝を飾っている。その再現はあるのか?