K-TUNES RACING

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2019.11.16-17 富士スピードウェイ大きな進化を見せた3年目のシーズン
しかし最終大会はかみ合わず4位に

11月16日~17日、2019年シーズンの掉尾を飾る第4大会が開催された。3シーズン目ということもあり、末長一範選手の進化も大きく、シーズン前半から上位でレースを戦い、第2大会では見事に初優勝を果たした。結果としてシリーズランキングも上位となり、シリーズチャンピオンを狙えるポジションにある。

土曜日の朝、いつものようにジェントルマンクラスの予選から始まり、末長選手がコースインして20分間の計測を開始する。今シーズン、予選でも積極的な走りをみせてきた末長選手だったが、この日は何かが違う。序盤は慎重にコンディションを確認していくが、セッションが進んでも思うようにペースが上がらない。予選後、末長選手は、「気温が低く、タイヤが温まりにくかったのでペースを上げるのに苦労しました。最後にアタックしようと思ったのですが、タイミングが合いませんでした」と、歯車が噛み合わずフラストレーションが溜まる状況を振り返った。結果として、予選のベストタイムは1分50秒157で、5番手からから決勝レースに臨むことになる。

12周で争われる決勝レース第7戦は、土曜日の午後に行われた。末長選手の眼前には、#55虫谷泰典選手、#7とおる君選手というランキングで末長選手よりも上位の選手が並んでいる。彼らを攻略することがすなわち栄冠を手にすることになる。
クリーンなスタートから、末長選手はクラス5位をキープしたままレースが進んでいく。しかしクラストップを争う#8けんたろ選手、とおる君選手、虫谷選手選手を懸命に追うものの、その差が徐々に開き始めていく。

いつもならどんな状況下にあっても抜群の安定感を見せる末長選手だが、この日はペースが上がらないうえに、安定感が欠けていたのも事実だ。「前日練習ができず、予選からぶっつけ本番で、そのまま決勝レースだったので、前回(第3大会)のようないいリズムが掴めなかった。スピード感にも慣れていけなかった」と、末長選手が語るように、スケジュールの関係で前日に走行できなかったことが影響してしまった。
結果として第7戦決勝のベストラップは1分50秒748に留まり、クラス4位でチェッカーとなった。末長選手は悔しさを滲ませながら、「途中まではいけるかな、と思っていたんですが、自分で自分のリズムを崩してしまい、なかなかペースが上げられませんでした。ただ、走りながら課題は見つけられたし、中山選手からもアドバイスをもらったので、それらをふまえて明日のレースに挑みます」と、語った。

翌日行われた第8戦は、前日のレースのフラストレーションをすべて振り払うかのような走りを見せたいところ。
スタートは混乱もなく、末長選手は前を行くけんたろ選手を追う。昨日とはうってかわる速さ、そして安定した走りで、前を行くクルマとの差をジリジリとつめていく。「前日の走りをデータロガーや車載カメラの映像で確認して、改善できたことがいい走りにつながった」(末長選手)。
この日の走りは、速いペースでラップタイムも安定している。前を行くマシンにバトルをしかけるシーンも見られ、レース勘を取り戻し、いい走りを見せていた。が、好事魔多し。4周目、ダンロップコーナーで単独スピンを喫してしまう。コーナー進入直前、末長選手の前を行く2台のマシンの差がグッとつまり、マシンコントロールが難しい局面で「シフトロックした可能性があった」と、レース後、末長選手はそのときの状況を振り返る。
ここから再び、末長選手は懸命に前を追う。7周目には1分48秒398のベストラップをマーク。8周目には虫谷選手を見事にパスしてポジションアップを果たす。「スピンしたあと、すぐ戻れたので、諦めずにチャンスがあると思って積極的にプッシュしていきました。前が見えるところまで上がっていけたので、それが走りにいい効果をもたらしました」(末長選手)。

レース勘を取り戻し、落ち着いた走りで周回を重ね、末長選手本来の速さも際立っていた。結果はクラス4位となったが、末長選手は「スピンしたのは悔やまれますが、今シーズンの集大成的ないい走りができたと思います」と、レース後に笑顔で語ってくれた。

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2019.11.16-17 富士スピードウェイレースペースに苦しみ上位入賞ならず
惜しくもシリーズチャンピオンを逃す

ポイントランキングをトップで迎えた最終大会。チャンピオン争いを有利に進めるには、ひとつでも前のグリッドでスタートしたいところ。予選セッション前、ポイントリーダーである中山選手に目に見える気負いはなく、リラックスしていた。

最終戦のポイントは通常の1.5倍となる。計算上、ランキング6位の#73福住仁嶺選手までが権利を残しているだけに、グリッドの前の方を狙う争いは熾烈を極めた。そんななか中山選手は、4周目にタイムを上げ1分45秒756で3番手タイムをマーク。その後、1分44秒705、1分44秒511と着実にタイムアップを果たすが、ライバルたちもなかなか手強い。1分44秒112を叩き出してポールポジションを獲得した#8宮田莉朋選手を筆頭に、0.7秒のなかに7台が入るという予選から激しい戦いが繰り広げられた。
結果として5番グリッドからのスタートとなった中山選手は、「混雑した状況のなかで、自分の温めるタイミングとアタックのタイミングが合わず、悪いところが出てしまいました。このポジションから攻めていくだけです」と、決勝への意気込みを語ってくれた。

迎えた17日の決勝レース。コースイン直前にマシンの異常が発覚していた。しかしメカニックの懸命な修復作業によって、マシンは無事にグリッドにつき、中山選手にとっては2016年以来の、K-tunes Racingにとっては初のチャンピオン獲得に向けてスタートを切る。
オープニングラップから果敢な攻めを見せる中山選手は、前を行く#7野尻選手をパスして順位をひとつ上げて4番手に浮上。さらに#73福住を射程に収める。
レースは、トップ宮田選手から4番手を走る中山選手までの4台が等間隔のまま進むが、6周目の宮田選手と#32坪井翔選手のバトルを契機に動き出す。坪井選手が宮田選手をパスしたのに乗じて、中山選手と宮田選手、福住選手の2番手争いが激しさを増してくる。アドバンコーナーから、300R、そしてダンロップコーナー直前まで3台横並びとなる。これぞインタープロト! という凄まじい戦いが繰り広げられた。そして7周目、ついにコカ・コーラコーナーで福住選手を仕留め、3番手にポジションアップを果たす。

8周目には1分45秒387のファステストラップを記録するが、追い上げはここまで、3番手をキープしたままファイナルラップを迎え、そのままチェッカーとなった。
「ペースはあまりよくなかったんです。スリップを使ってなんとかついていける状況でした。ファステストラップを出しましたが、それは周りがタイヤをいたわりながら走っている状況だったからだと思うんです。そのなかで僕はフルプッシュしていかないと、前について行けない状況でした」(中山選手)。
続けて行われる決勝レース第8戦は、いよいよ正念場。第7戦で勝利を飾った坪井選手がランキング2位に上がり、トップの中山選手との差は11ポイント。2位でチャンピオン獲得は安全圏となるが……。

スタートではポジションキープとなった中山選手だったが、宮田選手を攻略することが、まずやるべき仕事だ。中山選手は、トップ争いをする2台のバトルを尻目にタイミングを伺う。トップから8番手までは1秒以内で連なるという状況のなか、中山選手の後方からは、福住選手、山下健太選手が迫ってくる。宮田選手を捉えたいが、後方との差を考えると抜き損じるわけにはいかない。福住選手の熾烈な攻めを凌ぐものの、宮田選手との差が徐々に開き始める。第1レースで中山選手がマークしたファステストラップは5周目に#37 阪口晴南選手が1分45秒209を叩き出し、塗り替えられる。

レースはチャンピオンに王手をかけた坪井選手がトップのまま進んでいく。そして、ファイナルラップ。3番手の位置を堅持していた中山選手だったが、福住選手の攻めに屈してしまう。「GRスープラコーナーで仕掛けてくると予想していた(中山選手)」が、想定よりも内側に入ってきた福住選手に先行を許してしまう。そのまま最終コーナーを立ち上がり、中山選手は4位でフィニッシュとなった。結果として、チャンピオンには一歩及ばず。ランキング2位で2019年シーズンを終えることとなった。

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コメント

  • 末長一範
    Gentleman Driver末長一範

    8戦目のような走りが、いきなりポンとできるようになることを、来シーズンのひとつの課題としたいですね。3年目となってインタープロトのマシンの扱い方もわかってきました。恐怖感が克服されたのはもちろん、クルマを扱う難しさが楽しさに変わってきたので、それがタイムアップにもつながったし、表彰台に上がれる原動力になりました。身についたものが結果として現れたシーズンでした。

  • 中山雄一
    Professional Driver中山雄一

    チャンピオンを獲得できなかったのは残念ですが、そのためには、もうちょっと煮つめないといけないな、と感じています。今シーズンは開幕戦から上位争いができ、緊張感のあるレースができました。トラブルは多かったんですが、そのおかげでチームはギリギリの時間のなかで修復するといったような、滅多にできない経験が積めたと思います。間違いなくK-tunes Racingのクオリティアップにつながる1年になったと思います。

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