K-TUNES RACING

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2023.11.4-5 モビリティリゾートもてぎレース終盤に見せた怒濤の追い上げ
今季最上位となる5位入賞を奪取

K-tunes Racingにとって、SUPER GT 6年目のシーズンに終わりを告げる最終戦が、11月4日(土)〜5日(日)モビリティリゾートもてぎで開催された。2023シーズンはここまで7戦、入賞は3度、ドライバーズポイントも1ケタの9と、厳しい結果が続いていた。実は2018年のSUPER GT参戦以来、最も低調なシーズンとなっていたのだ。それを完全に巻き返すことは数字上できないのだが、来シーズンへ向けて希望を持てる結果が欲しいところだ。

10月最終週まで、まるで残暑のような暑さが続いた日本列島。11月のMOTEGI最終戦は、いつもは結構寒い。K-tunes Racingのチームメンバーも、ダウンジャケットを着用するのが例年だ。果たして暑いのか??、寒いのか??、それがレースで重要なカギとなるタイヤの選択に大きく影響する。サーキットへ持ち込むタイヤのスペックは、遅くとも前週までには決めなければならないので、温度環境を予想するしかない。 そもそもMOTEGIのコースレイアウトは、LEXUS RC F GT3にマッチしていない。ハンドリングマシンには鈴鹿やSUGOが向いていて、タイトコーナーと短いストレートが連続するMOTEGIではトラクション性能に優れたハイパワーマシンが向いているのだ。

ランキング上位を戦っていたマシンたちは、最終戦ということでサクセスウエイトがゼロとなり、ハンデなしの真剣勝負という面から考えても、上位入賞は厳しい状況であることは予想がつく。
レース距離は以前は標準だった300km。昨シーズンから450kmのレースが増加しており、もはや少数派だが、いろいろな戦略的な自由度が小さいので奇策は取れない。これは96号車にとっては良いハナシだが、一方で今回のレースではタイヤ交換の義務はない。軽量なGT300マシンとっては大きなメリットだが、重量級のRC Fにとっては不利な要件だ。

迎えたレースウィーク、天候は前週ほどではないが、日が出ていれば十分に暖かい天候となった。つまり低温対策として用意したソフトなタイヤを選択した場合は厳しく、耐久性重視のハードなタイヤを選択したほうがマッチしそうだ。
公式予選、K-tunes Racingは決勝レースを重視したハードタイヤを選択。Q1、Q2どちらのタイヤがスタートタイヤに指定されても、同じレース戦略とすることができる。タイヤの負担でも、燃費の面でもライバルに対して厳しい96号車が、上位入賞を目指すにはコンベンショナルな作戦で自らのパフォーマンスを最大限に引き出すしかないのだ。

予選Q1を担当した高木真一選手は、その片鱗を見せてくれた。最初のアタックで叩き出した1分46秒444は、その瞬間はトップにわずかに届かない2番手タイム。最終的には3位となったものの、ハードタイヤであってもしっかりと速さを出すことができた。
続く予選Q2、新田守男選手はほぼ同じセットアップでアタックを行い、1分46秒221へとタイムアップさせ、予選9位という結果となった。Q2で大きくタイムアップしたライバルが何台かいたが、入賞圏内である10位以内からのスタートは十分な成果だ。
ただし、タイヤ無交換を前提にタイヤ選びをしているチームもあるはずで、彼らは予選で上位に食い込むことは難しい。GT3勢の中では、トラクション性能が高いミッドシップやAMGが有利なのは明らかで、予選で沈んだGT-R勢はリストリクターが絞られた影響が大きそうで厳しいレースになりそうだ。
いつも以上に要素が複雑で単純な予想も難しい。そんな中で大きな希望はドライバーの声だった。「タイヤも今日のコンディションには悪くないし、ロング(長距離)でも悪くなかったから、もしかするといいところに行けるかもしれない」と高木真一選手は言う。結果的に、実際にマシンを走らせているドライバーのコメントこそ、最もリアルなものとなっていく。

決勝レース、コンディションは前日と同じように見えていた。しかし雲は厚く、日差しが遮られると一気に暗くなる。ただし、当初は日曜日だけ雨予報だった天気予報も、レースウィークには曇りに変わり、レインタイヤはそのまま出番ナシといった雰囲気だった。
しかしスタート直前、グリッド上に並んだマシンたちに小雨がパラついていた。少し湿度が高まる程度かと思っていたが、雲はグレー化していた。
スタートドライバーは新田守男選手。オープニングラップでポジションをひとつ上げたものの、前日よりも路面温度が低いこともあるのか、スタート直後からペースが苦しい。3周目に9位、5周目に10位へとポジションを落としてしまう。その頃、コースに雨が落ち始めた。徐々に前のマシンが離れていったが、同時に後ろのマシンも離れ、15周目には前後ともに5秒以上のギャップの単独走行になっていった。
そして20周目にピットへ向かい、高木真一選手へとドライバー交代した。ライバルたちが後輪だけの2輪交換、あるいはタイヤ無交換といった戦略を取る中、96号車は4本ともにニュータイヤへと交換。もちろんタイムロスは明らかだが、ここから残り40周近くのレースを良いパフォーマンスを発揮させるためだ。

高木真一選手は快調なペースで周回を重ねていく。まだ上位陣がドライバー交代していない中、レースの折り返し点でもある29周目には11位へポジションを回復。入賞への期待が高まっていった。
だがその頃、雨はコースの一部で降り始めていた。それは高木真一選手が願っていたコンディションだった。「ダンロップタイヤの特性だと思うんだけど、わずかに雨が降っているような状況で、タイムの落ち幅が小さいんですよ。新田選手の時も、周りのマシンよりもペースが落ちなかった。だからもう一度、降り始めないかなと思っていたんです」とレース後にコメントしてくれた。
そのチャンスはしっかりと活かされた。32周目に10位へと上がると、4号車AMGへと急接近。片岡龍也選手とテール・トゥ・ノーズのバトルが展開されていくが、なかなか抜き切れない。47周目に決着を付けて9位となると、18号車NSXとの差も一気に詰めて52周目に8位へ。56周目に7位へポジションを上げると、57周目にはシリーズチャンピオンとなった52号車GRスープラをオーバーテイク。
さらに58周目にはチャンピオン争いを展開していた2号車GR86を制して、5位へと躍進。レースは59周で終了となり、K-tunes Racingは最終戦で今シーズン最上位の5位を獲得することになった。

コメント

  • 影山正彦チーム監督
    影山正彦 チーム監督

    「ドライバー、チームスタッフが一丸となって今シーズン最上位の5位という結果で、最終戦を締めくくることができました。来シーズンにつながるレースになったのではないかと思います。今シーズンは厳しいレースが続き、K-tunesのファンの皆さんも不満だったと思いますが、最終戦でしっかりと結果を出すことができて、本当に良かったと思います」

  • 新田守男選手
    新田守男 選手

    「タイヤが温まるまで厳しいことは判っていたんですが、何とかポジションを守って高木選手へとバトンを渡すことができました。マシンのフィーリングは良かったので、高木選手が追い上げてくれるだろうと思っていました。まだまだ課題も少なくありませんが、最終戦で良い結果が出せたことは、本当に良かったと思います。応援ありがとうございました」

  • 高木真一選手
    高木真一 選手

    「新田選手の時に小雨が一度降って、ドライバー交代してもう1回降らないかなと、期待していました。ダンロップタイヤはちょっとだけ濡れた路面でライバルよりも速いんですね。だから今日のレース後半に降ったような少ない雨量はピッタリで、それが終盤の追い上げにつながりました。K-tunesのファンの皆さんもレースを楽しんでもらえたかなと思います」

リザルト2023 AUTOBACS SUPER GT Round.8 MOTEGI

11/05 決勝レース モビリティリゾートもてぎ 天候:晴れ・雨 路面:ドライ・ウエット

Pos. Car No. Machine Driver Laps Time / Gap Best Lap Tire SW
1 88 JLOCランボルギーニGT3
LAMBORGHINI HURACAN GT3
小暮卓史/元嶋佑弥
59 1:53'36.562 1'48.574 YH 0
2 65 LEON PYRAMID AMG
Mercedes AMG GT3
蒲生尚弥/篠原拓朗
59 7.124 1'48.793 BS 0
3 6 DOBOT Audi R8 LMS
Audi R8 LMS
片山義章/R.メリ・ムンタン
59 22.795 1'49.644 YH 0
4 31 apr LC500h GT
LEXUS LC500h
小高一斗/根本悠生
59 23.265 1'49.320 BS 0
5 96 K-tunes RC F GT3
LEXUS RC F GT3
新田守男/高木真一
59 38.520 1'49.950 DL 0
6 4 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R
NISSAN GT-R NISMO GT3
J.P.デ・オリベイラ/名取鉄平
59 40.318 1'49.244 YH 0

ファステストラップ 1'48.505 #2 平良 響
※タイヤ BS=ブリヂストン DL=ダンロップ MI=ミシュラン YH=ヨコハマ

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